メダロットの話しかしないブログだと思われがちだがそんな事はないぞシリーズ。
ウマ娘、というかウマ娘にかこつけた競馬史雑語りみたいなどこに需要があるのか、あったとしてもそこにリーチできるのかも分からん記事。競馬関係なんてもっと質の高い記事がいくらでも転がってるんだよなぁ……。
そこそこ長いので暇な時にでも読んでいただければ幸い。誤り等を見つけた際にはこっそり指摘していただけると助かります。
〇バイアリーターク系
~系と言うのは「父を遡っていくとその馬にたどり着きますよ」という括りを指す。
バイアリーターク(Byerley Turk)は1679年頃~1705年のオスマン帝国産と思しき馬。
この血統を大きく発展させた種牡馬の名からヘロド系とされることも多いが今回は割愛。
ウマ娘においてバイアリーターク系に属するキャラクターは僅かに6名。
シンボリルドルフとその産駒のトウカイテイオー、ツルマルツヨシ。
メジロマックイーン、サムソンビッグの5頭がバイアリーターク系の中のパーソロン系に該当。
パーソロンは欧州では決して大物とは言えない戦績の競争馬だったが和田共弘氏(シンボリのオーナー)と北野豊吉氏(メジロのオーナー)が共同で購入して日本に導入。種牡馬として大成功を収めた。
直系の子孫はほぼ残っていないが僅か19頭の産駒から天皇賞勝ちを送り出したメジロアサマの系譜のメジロマックイーンが母父として6頭の種牡馬を送り出した為、今後も日本競馬の血統表には逞しく残り続けるはず。
ステイゴールド産駒のG1勝ち馬3頭は有名だが、それ以外にも同じくステイゴールド産駒のリヤンドファミユ(Lien de Famille)、キングカメハメハ産駒のタイセイレジェンド(Taisei Legend)、マンハッタンカフェ産駒のラブイズブーシェ(Love is Boo Shet)なんかも種牡馬入りしている。
パーソロンを介さないバイアリーターク系としてダイタクヘリオスもここに含まれ、ジェベル(Djebel)という1937年生まれのフランスの競争馬からパーソロン系と別たれている。
ヘリオス産駒から後継種牡馬を出したものの直系は残っていない。が、購入者が藤田正明氏(トウショウのオーナー)と松岡正雄氏(キョウエイのオーナー)。結構な数の繁殖牝馬にその血を継がせたこともあり、意外とその血を引く馬を見かける。ウマ娘だとウオッカやスイープトウショウが該当。
他にも近年の研究で血統表にエラーがあり、実はバイアリーターク系の可能性があると指摘されているキャラクターもいる。
メジロパーマーとタップダンスシチーの2名がこれに該当し、セントサイモン(St. Simon)という1881年のイギリス生まれの競争馬が実はバイアリーターク系とする説があるらしい。
その指摘をした人物があくまでも馬全般の研究者であったため「SNPで分類するとエラーがある」以上のことは言及していないので真偽のほどは不明のままの筈。
全くの余談であるがこのセントサイモン、気性難を通り越して〇チガイと言われるくらいの気性難。馬という種族は概ねネコ大好きなのだがこの馬はネコを叩き殺した逸話を持つやべー奴である。
にも関わらずほとんどの馬に1割程度その血が受け継がれていると言われており、もしもウマ娘が夢で「力が欲しいか……?」などとのたまう影と出会ったらそれは多分コイツ。
〇ゴドルフィンバルブ系
ゴドルフィンアラビアンとも。この辺りの表記揺れはターク種なのかアラブ種なのかが特定困難なための生じているが、現代競馬ファンが気にする事ではないので豆知識程度に。
この馬に限らず、サラブレッドの定義付けをしたジェネラルスタッドブック発行以前の馬はあまりにも古い&残すべき記録の定型が定まっていなかったのもあって信憑性は怪しい部分が多い点には注意。
この血統も繁栄の礎を築いた馬の名からマッチェム系と称する事も多いが特に語る事はしない。
ゴドルフィンバルブ(Godolphin Barb)は現代のシリア周辺?からフランスを経由して1729年にイギリスに輸入されたとされる稀代のネコ好き。セントサイモンと会わせてはいけない。
直系は廃れて久しいものの、サラブレッドの遺伝子プールの14%弱がこの馬に由来するとか。
ウマ娘のキャラクターでこの系統に属するのはカルストンライトオのみ。彼女が異常ネコ愛者なのはこの辺りのつながりを誇張した結果と思われる。
ここからの活躍馬が居ない為、日本ではゴドルフィンバルブ系は途絶えた……と思いきやなんかパールシークレット(Pearl Secret)がアロースタッドにやってきた模様。マジかよ。
ウマ娘との縁はないが初代ビッグレッドことマンノウォー(Man o'War)の直系のティズナウ(Tiznow)辺りが有名か。コントレイル(Contrail)の母母父でもある。
ここまで一気にバイアリーターク系とゴドルフィンバルブ系を紹介したので後は全てダーレーアラビアン系。
〇ダーレーアラビアン系
現在はダーレーアラビアン(Darley Arabian)の名で知られる本馬だが、当時は「マンニカ」という名であったとも伝わっている。
この系統も繁栄の礎となった馬の名からエクリプス系と呼ばれる事もある。ウマ娘ユーザーにとっては生徒会室に掲げられている標語「Eclipse first, the rest nowhere」に登場する馬として有名か。
三大始祖とは言いつつももはやこの系統のひとり勝ち状態なのでいずれダーレーのみを指して「始祖」と呼ぶようになる日が来るかもしれない。
ウマ娘的には現時点で育成可能及び育成可能になりそうなキャラクター131名中125名がこの系統。
流石に一気に紹介できる人数ではないので更に細かく系統を分けつつ話を進めていきたい。
2代遡ってウマ娘内に産駒が一頭しかいない父系。
スティールハート、ワイルドアゲイン、リヴァーマンは遡ると共通の先祖として1935年イタリア生まれのネアルコ(Nearco)にたどり着く。
が、ポッセに関しては同じダーレーアラビアン系と言っても1773年にイギリスで生まれたポテイトーズ(Pot-8-Os)まで遡る。先に述べたエクリプスの産駒である。マイナーな血統とは聞いていたがここまでとは思わなんだ。
ちなみにマインドユアビスケッツ(Mind Your Biscuits)の父と同名だが勿論全く別の馬なので要注意。
ミルリーフは遡るとスティールハートらと同じネアルコにたどり着き、ネイティヴダンサーはネアルコの祖父ファラリス(Phalaris)で合流する。
余談だが後ほど紹介するサンデーサイレンスの宿敵イージーゴア(Easy Gore)や後に世界中で栄えに栄える事となるミスタープロスペクターもこの系統。かなり長くなるのでここからは分けたが。
更に言えばこれまた世界を席巻する大種牡馬ノーザンダンサーの母父でもあり、ここの画像だけでは地味に見えるがとんでもない一大勢力である。
エルバジェは遡ると1872年のイギリス産馬ハンプトン(Hampton)でポッセと合流。
フォルティノも遡るとそろそろ親の顔くらいよく見たネアルコにたどり着く。
シービークロスは名前を見ての通り千明(ちぎら)牧場の馬。シンデレラグレイでどう考えても生徒会とか向いてなさそうなミスターシービーがあそこにいるのは後のライバルの存在を暗示しているのかも知れない。
シービーだけならともかくマルゼンスキーは更にそれっぽくなるので多分意図してやってる。シナリオ的にはルドルフさえいれば問題ない感じやからね、シングレの生徒会。
ネアルコを介さず、1918年のイギリスの競争馬ゲインズバラ(Gainsborough)でポッセの血統と合流する。ゲインズバラは世界的にはハイペリオン(Hyperion) 、日本では戦前に6頭ものダービー馬を輩出したトウルヌソル(Tournesol)の父として有名。流石に余談にしかならない上にヒサトモの牝系の話なんかは無限に語れてしまう奴なのでここでは自重。
ディクタスはフランスでも種牡馬として中々の成果を上げた後、のちに社台グループに購入されて来日。
日本での代表産駒はシンデレラグレイではディクタストライカの名で登場しているサッカーボーイ。そこから更にナリタトップロードやヒシミラクルを輩出するがそこから先が伸び切らず。
代わり、という訳ではないがサッカーボーイの全妹のゴールデンサッシュ(Golden Sash)が牝馬ながらに19頭もの産駒を送り出し、中には後の大種牡馬ステイゴールドも擁するなどその血を大いに繁栄させた。
ブラッシンググルームも遡るとナスルーラ(Nasrullah)からのネアルコ。そろそろ瞼の裏より見たんじゃねえかってくらいのネアルコ率である。
ブラッシンググルーム直子で日本で種牡馬をしていたのはクリスタルグリッターズのみ。サクラローレルは受胎した牝馬を輸入するいわゆる持込馬。
彼の代表産駒は菊花賞勝ち馬のマチカネフクキタル……と見せかけて獲得賞金的にはアブクマポーロ(Abukuma Poro)。地方馬でありながら8億円以上を稼いだ20世紀の国内ダート最強馬の一角を担う名馬である。
また、カルストンライトオの母父でもある。父で菊花賞、母父でアイビスサマーダッシュとはなんとも極端な。
プリンスリーギフトの父はナスルーラ。つまり祖父は? そうだね、ネアルコだね!
サクラユタカオーのラインは直系が今も続いているのは勿論、ゴールドシチーやアイネスフウジンの母父としても活躍。更にサクラバクシンオーが母父としてキタサンブラックを輩出するなど大成功を収めている。
トウショウボーイも国産種牡馬不遇の時代にあって廉価で良質なお助けボーイとして成功。もっとも、国産不遇故に初年度に若い牝馬に付けるためにド派手なレギュレーション違反をかましていたりするのだが。それで三冠馬が出たらもう何も言えんのよ。
なんならよう分からん種牡馬としか言いようのないボイズィーボーイからもカツラギエースが出てくるもんでこの系統の評判はうなぎ登り。子や孫を種牡馬として20頭以上を導入して海外のプリンスリーギフト系を刈り尽くしたとも言われている。
(まあ本当に必要な種牡馬は売らないだろうし、ネアルコ系の種牡馬なんてどこの国も溢れかえっていたのが一番の要因だろうとは思うが)
90年代の種牡馬御三家、府中の恋人トニービン。と言っても自身の府中での戦績はラストランのジャパンカップでレース中に骨折して5着止まりだが。骨折して5着???
血統的にはグレイソヴリン (Grey Sovereign)→ナスルーラ→もはや親同然のネアルコと言った感じ。
自身は種牡馬として非常に優秀で、ウマ娘になっていない馬も含めて多数の種牡馬を送り出したが種牡馬の父としてはふるわず。
一方で母系に回ってからの活躍はすさまじく、母父として10頭を超えるG1勝ち馬を輩出し、複数の優秀な種牡馬を送り出している。特にエアグルーヴは名競争馬にして名繁殖の代名詞と言って差し支えないほどの実績を残した。
ノーザンダンサーは血の一滴は金一粒とまで言わしめ、世界中に広がった伝説的大種牡馬。祖父ネアルコ。親の仇のようなネアルコ推しに「こいつネアルコのステマ要員か?」と思われるかも知れないがこれが現実なんだ。
アメリカにおいてはストームバードの子孫が、欧州ではサドラーズウェルズの子孫が今も活躍している。表には居ないがラークシナリオの隠しボス的存在であるモンジューもサドラーズウェルズ産駒。
面白いのはサクラチヨノオー、ヤエノムテキ、スーパークリークの3頭が揃ってニジンスキー系な点。シンデレラグレイのオグリと同世代の牡馬クラシック勝ち馬が全員ニジンスキー系という格好になるので生徒会に日本におけるニジンスキー産駒の筆頭とも言えるマルゼンスキーが居る事に象徴的な意味を持たせてるんじゃなかろうか。
他に日本競馬と特に縁が深いのはノーザンテースト、モガミ、ダンシングブレーヴ、フレンチデピュティあたりか。
ノーザンテーストはサンデーサイレンス以前の日本のリーディング種牡馬。直系はすっかり消えたがサンデー産駒の母父として社台グループの更なる飛躍を支えた。ウマ娘だと理事長はこの馬がモデルと言われているとかいないとかそんな噂が無い事も無い。
モガミはパーソロンと似た経緯でシンボリとメジロの共同所有でフランスで現役を過ごし、引退後に種牡馬として輸入された馬。
戦績がパッとしなかったので初年度は30頭程度の繁殖にとどまったが、そこからいきなりダービー馬シリウスシンボリを輩出。翌年には日本史上初の三冠牝馬を送り出すなどして一気に人気種牡馬となった。
現在直系は残っていないがモーリス(Maurice)やグローリーヴェイズ(Glory Vase)などのG1勝ち馬の母方の血統表に名を残している。
ダンシングブレーヴは1980年代の欧州最強馬。が、マリー病という難病を患い維持コストが重くなった事と初年度産駒がイマイチだったために日本に売却。
その後、産駒が急に走り始めたりキングヘイローを筆頭に産駒が日本でもしっかり走って結果を残し、売った側は何故売ったと詰められたなんて話もあるが真偽は不明。
今ではドバイシーマクラシックを圧勝したイクイノックス(Equinox)の母父がキングヘイローだったり、日本馬で初めてブリーダーズカップディスタフを勝ったマルシュロレーヌ(Marche Lorraine)の祖母キョウエイマーチ(Kyoei March)がダンシングブレーヴ産駒だったりと母系での活躍が目覚ましい。
フレンチデピュティ、クロフネは親子2代続けてダートの有力種牡馬として活躍したが、クロフネがかなり極端なフィリーサイアーだった事もあって直系は残らなさそう。
しかし、フレンチデピュティは母父としても結果を残しており、先に挙げたマルシュロレーヌの母父がフレンチデピュティ。
クロフネもフィリーサイアーゆえに牝馬のG1勝ち馬は数多く、世界初の白毛のG1馬ソダシ(Sodashi)なんかもクロフネ産駒である。だもんで母父として既に十分な結果を残しており、たとえばクロノジェネシスを筆頭に多数の重賞勝ち馬の母父として名を残している。
先に述べた通り、ネイティヴダンサー系から独立したのがミスタープロスペクター系。略してミスプロ系。
日本競馬的にはなんと言ってもキングマンボ→キングカメハメハの系統だろう。
キングカメハメハは競争馬としては8戦7勝。日本ダービーではアイネスフウジンのレコードを2秒以上も更新。屈腱炎の為、3歳10月と日本馬としては早めの引退となった。
4歳には種牡馬入りしたキングカメハメハは長きにわたって日本のナンバー2種牡馬の座を守り通す大種牡馬となる、その産駒も種牡馬として結果を出している。
サクラバクシンオーと並ぶ日本スプリント最強候補にしてアーモンドアイの父、そしてカレンチャンガチ勢と名高いロードカナロアが現状未実装なのが残念なところ。
ロベルトも含めて実質ヘイルトゥリーズン天国の本邦。
彼の血統を更に遡るとターントゥ(Turn-To)→ロイヤルチャージャー(Royal Charger)→ネアルコ。世界の合言葉はネアルコ。
デヴィルズバッグ。ヘイロー産駒の種牡馬で現役時代は9戦8勝しためっちゃ強い馬。
日本での有名どころはなんと言ってもタイキシャトル。現役13戦11勝とか言うバケモンで今なお日本史上最強マイラーの有力候補。後継の種牡馬もいるが今のところは地方でぼちぼちと言った感じ。
アメリカでの代表産駒はデヴィルズヒズデュー(Devils His Due)。更にその産駒として日本でもゴールドシップとのニックスで有名なロージズインメイ(Roses in May)が居る。
稀代の癖馬ゴールドシップや総帥こと岡田繁幸氏が関わってくるせいで面白要員と思われがちなロージズインメイだが、生涯戦績は[8-4-0-1]でホイットニーステークスとドバイワールドカップを勝った紛れもない名馬である。そもそもゴールドシップもG1を6勝しており、二冠馬としてはG1最多勝利を誇る文句なしの名馬である。迷馬でもあるだけで。
岡田繁幸氏は日本競馬の発展に色々と貢献した人なのだがその肩書だけで語り尽くせるものでもないし、ネットでよく見る若かりし頃にクレイボーンファームで不法就労していたら後の社台ファームの代表である吉田照哉氏と出会ったとか、一般通過総帥とかスーパークリーク出走の為に自分のクラブの馬の出走を辞退して調教師と喧嘩別れ(後に仲直りした模様)したとかゴムマリおじさんとかそういう与太話だけでもない面白い人物であるが、本筋とはあまり関係ないので割愛。
ロベルト系は文字通りロベルトと言う種牡馬の成功によってヘイロー系から分かれた系統になる。ロベルトは当時15連勝中だったイギリスの名馬ブリガディアジェラード(Brigadier Gerard)の連勝をストップさせたことで有名な競争馬。
ブライアンズタイムはサンデーサイレンス、トニービンと並んで御三家と呼ばれた時期もあったが現在その直系は風前の灯火。
マヤノトップガン産駒が比較的健闘したものの重賞勝ち止まりで後継となれるような産駒は出て来ず、最後に種牡馬入りしたフリオーソも2024年を最後に種牡馬を引退。果たして後継を出せるかどうかといった状況。
一方でグラスワンダー、シンボリクリスエスの血統は順調に代を重ねている。
グラスワンダーは産駒のスクリーンヒーロー(Screen Hero)からアジアのマイル王モーリスを輩出。更にその産駒からピクシーナイト(Pixie Knight)やジャックドール(Jack d'Or)が種牡馬入りしている。
シンボリクリスエスはシーザリオとの仔であるエピファネイアが牡馬牝馬を問わず既に多くのG1勝ち馬を送り出しており、直系でも母系でも今後の活躍が期待される。
外国産馬というにはあまりにも日本競馬と一体化しすぎたメリケンヤンキー馬、サンデーサイレンス。実はアメリカのダービー馬にして二冠馬、G1を6勝して14戦9勝5連対。しかもサンデーサイレンスの世代はアメリカのサラブレッド生産数が最も多かった年で5万頭以上の頂点というド級の二冠馬。
実績は十分なのだが血統と見栄えと気性があまりにも悪すぎた事やサンデー自身が生産数最多世代≒以降アメリカ馬産が縮小に向かう、ヘイロー系ならデヴィルズバッグいるなど色んな不運が重なってアメリカでは全く需要が無かった模様。
馬主は手放したくはなかったようだが牧場の拡大に伴う借金もあり、古くから付き合いのあった吉田照哉氏、もとい社台に16億円で売却。結果的は御覧の通りだよ!
しかも恐ろしい事に母方に回っても優秀で母父としてもアーモンドアイを筆頭に数多くのG1馬を送り出している。
孫世代は意外と寂しいように見えるが単にウマ娘になっていないだけ。
例えば自身もウマ娘になっていないディープインパクト。G1を勝った産駒は50頭程いるのでここにいるのはごく一部である。有名どころはラヴズオンリーユーの全兄でありケンタッキーダービー3着のフォーエバーヤング(Forever Young)の父、伝説の名馬リアルスティール(Real Steel)。父と同じ無敗での三冠達成を成し遂げたコントレイル。日本以外でもサクソンウォリアー(Saxson Warrior)、スノーフォール(Snowfall)、オーギュストロダン(Auguste Rodin)がG1を勝っている。
他には自身はなかなか勝ち切れずG1を1つ勝つために50戦も走る羽目になったステイゴールド。ウマ娘になっていない表にいない馬でも障害の絶対王者オジュウチョウサン(Oju Chosan)など平地・障害合わせてG1馬が日本国内で7頭。更にシンガポールG1を3勝したエルドラド(El Dorado)と現役時代からは想像もつかないほどの名馬を送り出している。
岡田総帥が居なかったら種牡馬になれていたか怪しいくらいの戦績の馬が種牡馬としてここまで大成するとは思うまいて。
他にもフジキセキにスペシャルウィーク、ハーツクライ、表に名前はないがダイワスカーレットの半兄に当たるダイワメジャー(Daiwa Major)などが後継種牡馬を輩出している。ネオユニヴァースに関してはサウンズオブアースは種牡馬になっておらず、2011年のドバイワールドカップを勝ったヴィクトワールピサ(Victoire Pisa)などが種牡馬入りしている。
ヴィクトワールピサは2021年にトルコに種牡馬として輸出され、2025年にはトルコでの初年度産駒のクサ(Cutha)がトルコのダービーに相当するガジ賞に勝利したらしい。もしかするとトルコで大いに栄えて子孫が日本に帰ってくるなんて事もあるかも知れない。
サンデーから見てひ孫の世代はどこも苦戦気味。現時点ではキタサンブラック→イクイノックスと繋げたブラックタイドが一歩リードか?
ブラックタイド自身は全弟のディープインパクトの代替種牡馬扱いだったので中々に意外な展開となっている。
以上が育成対象になりそうな発表済みのウマ娘の大まかな血統。
こうしてみると血統ごとの流行り廃りや種牡馬として成功すること、代を重ねて行くことの難しさが見えてくるような気がしなくもない。
あまりに複雑になるので父系のみに絞ったが馬産において真に磨き上げるべき原石と呼べるのは寧ろ母系。1つの系統が流行し、1頭が年100頭以上の産駒を送り出す種牡馬はその原石を磨き上げる研磨機のようなもの。
記事のコンセプト的に仕方ないとは言えエアグルーヴやシーザリオ、三冠馬の母や祖母になるフサイチパンドラ、デアリングハートにあまり触れられていないのは正直片手落ちも良いところである。
長々と駄弁り倒したが一つだけはっきりと言えるのはネアルコはガチ。